破産法・民事再生法 第4版

本書の「商品の説明」にある、著者紹介としては「倒産法研究の第一人者の手」とあるが、改めて言うまでもなく、著者は民事訴訟法分野でも著名であり、本書と同シリーズでのテキストを刊行している。個人的には民事訴訟法については、新堂『新民事訴訟法』を使っていたが、縦書きだったこともあって使う機会はあまりなかった。本書は個人的に第２版辺りから使っていたように記憶している。本書は１３００頁を超える大著であり、価格に相当して新判例等を踏まえた完成度の高い構成・内容である。破産法で凡そ７割、その余に民事再生法の構成である。大著であること、項目構成内容が詳細で目次・索引も充実しているので、辞書的に使うのが理想的と思う。最近の“倒産法”体系書に、会社更生法が含まれなくなった傾向があるが、本書もその類である。これは半ば既知のことであるが、会社更生法と民事再生法との実体法的・手続的重複とその関係性にある。何より会社更生法は民事再生法に比較して、手続上の制限が多く（主体は株式会社のみ、取締役の当然退任、担保・別除権の制限ほか）、使いにくいところもある一方で、民事再生法は自由度が高いゆえだろう（個人にも適用できる：本書１１章・１１６３頁～）。本書はかかる“倒産法”の体系的な実務・講学用にテキスト・辞書の両面的利用にも充分に堪えうる。