子どもと一緒に覚えたい 道草の名前 (momobook)

この本は、「スミレ」「タンポポ」など、よく見かける、身近な道ばたの雑草たちばかり33種類の名前を子どもと一緒に覚えるときに、うってつけの本です。雑草たちの日々環境に合わせて生き延びようとする戦略の巧みさには驚かされました。この戦略の「あまりの多様さ」にも感動させられます。雑草のたくましさの原点も、ここにあるようにも思えました。しつこいくらいの「多様な」生き残り戦略。雑草、雑草、とひとくくりで呼びますが、いろいろな、たくましい生存戦略の「多様さ」には驚きます。どんなに踏みつけられても枯れない死なない雑草特有の強さ。いやらしいほどの、たくましさ。しつこく感じるほどの「たくましさ」高いお金を出して買った花は、水をやったり手入れをしても枯れてしまい、雑草ときたら、むしっても、むしっても出てくるので、イライラします。この本を読まなくても、雑草の名前を知っている人も多いと思われます。そんなありふれた植物たちのすがたには、つい人間の生き方を投影してしまいます。悪いヤツほど死なない、とか。この本は、そんな雑草たちをポジティブな目線で書いているので、ほんのりします。大人より背の低い小さな子どもたちの目線です。新鮮で、はっとさせられる目線です。目線が低い分、道ばたの雑草の小さな花に気が付く。子どもから雑草の花をプレゼントされた思い出は、一生のたから。忘れられません。こんな雑草たちの種を運んでくれるのは「虫」「鳥」「風」「子ども」。（006頁）風のように元気にかけまわる、子どものからだにくっついて、どこまでも遠くへ。夕方うちへ帰ってから、雑草の種がチクチクして、お母さんに取ってもらいながら話した「今日の遊び」。様々な方法で、自分の子孫を残そうとしている雑草たちの一番のパートナーは、小さな子どもたち、と気づかせてくれる本です。この本には「各」雑草の「生育地」が書かれています。その場所の表現が、何の変哲もなく、どこにでもある場所。雑草らしい「生育地」で、ほほえましい。道ばた、公園、田畑、田んぼのあぜ、線路際、水辺、野原、河原、空き地、荒れ地、土手、野山、山、林、家の裏の日陰、芝生、アスファルトの割れ目なんだなんだ、栄養分のなさそうな場所ばかりでは。いいんです、雑草はひとに頼まれて生きているわけではないんですから。自分勝手に、どこでも生育する植物。生育する場所を選ばない植物たち。さすがです、雑草たち。さよなら、明日も元気でね、とは言いにくいけど。また明日も遊ぼうね。よろしくお願いします。